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来年5月スタート 裁判員制度にむけて −模擬裁判

弁護士 谷川生子
 平成21年5月から始まる裁判員制度に向けて、現在、さいたま地方裁判所では裁判員裁判の模擬裁判が活発に行われています。裁判員の選任手続から始まり、審理→評議→判決までを通しで行う3日間のフル模擬裁が主ですが、その他、望ましい審理や評議のあり方を探るため、ときには実験的なことも行うミニ模擬裁も行われています。今回私は、1日で終了するミニ模擬裁の弁護人役の一人を務める機会をいただき、裁判員制度の難しさを実感することになりました。
 今回、私を含めた3人の弁護人の役割は、殺人未遂罪で起訴されている被告人の弁護であり、争点は「殺意」の有無でした(そもそも皆さん、「殺意」とは?考えたことがあるでしょうか。)。裁判員に対し、弁護人の意図をどのように伝えるか。主張する内容もさることながら、裁判員に書面を配布するのか、図を使うのか、言葉使いはどうするかなど、考えることは多岐にわたりました。結果的に、裁判員から審理がわかりにくかったという意見は出ませんでしたが、審理の後の裁判官と裁判員との評議は、裁判員制度の様々な問題を示唆するものであったと思います。
 刑事裁判では、「疑わしきは被告人の利益に」という大原則があります。しかし、この原則を実際に裁判員全員に理解してもらうのは非常に難しいと実感しました。なんとなく被告人が犯人だと思う、疑問はあるけどこいつを無罪にすることはおかしい等の意見が出ることはやはりあり得るところです。それは裁判員の責任というよりも、主に裁判官及び弁護人に、前述の大原則を裁判員に理解してもらうように裁判全体を通じて働きかける義務があるといえます。短い裁判の間に実現するのは至難の業ですが・・。
 とはいえ、裁判員制度導入のために、法曹三者は変化しつつあります。この変化は国民の皆さんには直接伝わらないかもしれませんが、これまでの刑事裁判の問題点に気づき、いかに改良するかを法曹三者それぞれが模索している今の段階が、実は最も大切なのではないでしょうか。今回の模擬裁判で、そのような感想をもった次第です。
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